• MY HOBBIES / Kenichi Hamana

2か月前のコラムに「トップ・オブ・ヨーロッパ」へ出かけ、数日をインターラーケンで過ごしたと書いた。1998年8月のことだ。そのインターラーケン滞在中に、列車で15分ほどのブリエンツから出ている非電化のナローゲージ山岳鉄道、言わずと知れた「BRB」、ブリエンツ・ロートホルン鉄道に出かけた。標高566mのブリエンツ湖畔から2,244mのブリエンツァー・ロートホルン山頂駅まで、距離7.6㎞、標高差1,678mを、最急勾配250‰のアプト式歯軌条(軌間800mm)で登っていく。所要約1時間は、中間駅での列車交換などもあって、あっという間に過ぎてしまう楽しい鉄道だった。

この鉄道は1892年開業で、1914年に第一次世界大戦の影響で運行休止ののち、1931年6月に再開。現在も蒸気機関車(蒸機)での運行を続けている鉄道で、1976年から蒸機の動態保存運行を定期列車で始めた日本の大井川鉄道と1977年12月に姉妹提携を結んだことでも知られている。なお運行は夏季のみで、本年(2024年)の場合はBRBのHPによれば6月8日から10月20日までとなっている。スイスではほかにフルカ山岳鉄道に蒸機列車が走っている。

ブリエンツ湖畔のふもとの駅に着くと、入り口に乗車記念のマッチ①が山積みに置かれていたので、まずこのマッチをゲット。ホームに入ると2本の列車(それぞれ客車2両の後部に蒸機)が蒸気を上げて発車準備をしていた②。私が乗ったのは旧型客車を6号機が押して登るこの列車③。6号機はBRBでは現役最古の蒸機で1933年にスイスの機関車メーカーSLM(スイス・ロコモティブ・アンド・マシン・ワークス)で製造され、1936年製の7号機も同型で、それまでの1~5号機が客車1両のみの推進であったのが2両を押せるようになった。発車するとすぐに急な登りで、ブリエンツ湖を眼下に民家のそばを抜けていった④。
20分ほどで中間の交換駅プランアルプに到着。山頂から下りてきた列車と交換。その中にはディーゼル機関車が牽く貨物列車もあった⑤。後ろからは続行運転の山頂への列車がやってきた。

山頂付近も含め沿線は草原で、オメガカーブを登るので、後続の列車⑥も車窓からよく見えた。山頂駅は傾斜地にあり、プラットホームにも段差がある⑦。ロートホルンの山頂(2,350m)はまだ上だが、鉄道はここまで。展望台からはブリエンツ湖を眼下に大パノラマが広がり、次の列車を待てばオメガループを登ってくる複数の列車を見ることができる。付近には「山頂ホテル」もあって宿泊可能。ただ近年は始発と最終列車や超混雑期の一部列車にはディーゼル機関車が使われるようなので、お出かけの際は要ご注意。また、インターラーケンとの交通はブリエンツ湖の遊覧船もある。確か1時間以上かかった記憶があるが、船上からの山岳風景もなかなか良かった。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です