• MY HOBBIES / Kenichi Hamana

2024年の元旦となり、何か正月にふさわしい話題はないかとロータリー関係の収集品を見渡しましたが、なかなか見当たりません。世界では各地で戦乱の犠牲になる市民が増え続けています。そんな状況を見つめながら、第1次世界大戦と第2次世界大戦の間の「戦間期」に存在した「自由都市・DANZIG(ダンツィヒ)」のロータリークラブ(RC)の出席カードの存在を思い出しました。

もう15年以上前のこと、ROS(ROTARY ON STAMPS)の大先輩であるDAVID HUANGさん(米)から譲られたアテンダンス・カード(出席カード、メークアップカード)の中に、1枚の気になるカード(表面①・裏面②)がありました。切手ではなくメータースタンプが押してあり、DANZIG1932年5月20日と日付が入っています。額面部分にはDANZIGのほかにFREIE STADTとあります。
DANZIGは現在のグダニスク(ポーランド)にあたり、当時はFREIE STADTつまり「自由都市」として都市国家の様相を呈していました。ドイツ帝国の支配下にあったダンツィヒは第1次世界大戦の終結により、ベルサイユ条約(100条~108条)でドイツから切り離され、国際連盟の保護と独自憲法の制定が定められ「自由都市」となったのです。その後第2次世界大戦初期にドイツ軍に占領されるまで存在しました。

この出席カードにはHuangさんの更に2代前の所有者(カードの宛先:英国ケントのダートフォードRCの幹事J・Lack氏[下記注])のメモが残されています。それによれば、「ダートフォードRCのロータリアン、カールさんが1932年、バルチック海のスプリングクルーズに参加し、エストニアのタリンと自由都市ダンツィヒのRCを訪問し、これは5月17日にダンツィヒRCを訪ねた時のカード」とあります。
ポーランドではワルシャワRCが1931年に創立。時を同じくして自由都市ダンツィヒにもRCが存在したものと思います。ワルシャワRCはその後国際ロータリー(RI)を一時離脱し、1989年に復帰しています。自由都市ダンツィヒも同様の道をたどり、現在はグダニスクRCとなっています。余談ですが、上記の1989年にはポーランドの駐英大使が英国のロンドンRCに入会しています。

現在の世界情勢を見るにつけ、国際連合が保護する「自由都市」「自由地域」が今ふたたび実現しないものか・・・・・と、このカードを見るにつけ思う次第です。

(注)J・Lack氏はこのコラムにも登場したことがある、ROTARY ON STAMPS(ROS)発足(1955年)以前からのロータリー郵趣家と思われ、多くの資料を残してくださっています。


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