• MY HOBBIES / Kenichi Hamana

新年を迎えました。新型コロナウイルスの影に隠れてあまり目立ちませんでしたが、昨年も「パナマ文書」が話題になりました。そのパナマ。「パナマ文書」以前は「パナマ運河の国」として有名でした。ちょうど私が世界地理や歴史を意識し始めた頃、今はエジプトのスエズ運河の国有化が実現し、その影響がパナマにも及び始めたと記憶しています。その頃「パナマ運河」とその周辺地帯は「パナマ運河会社」が権益を持っていて、パナマ共和国のものではありませんでした。その一帯は「キャナルゾーン(運河地帯)」と呼ばれ、パナマシティ(アンコン/太平洋側)とクリストバル(カリブ海側)という2つの大都市があり、郵便事業もパナマ運河会社によって行われ、パナマ共和国の切手ではなくキャナルゾーンの切手が使われていました。
パナマは1821年にスペインから独立したものの、翌1822年にはコロンビアに併合され、その後米国の支援を受けて1903年にコロンビアから独立した共和国です。しかし、1914年に米国がパナマ運河を完成させると、その一帯はパナマ運河会社のものとなりました。1979年の主権回復を経て、1999年12月31日に米国が運河地帯から完全に撤退して、パナマ運河はパナマ共和国のものとなった経緯があります。

1925年4月23日のアンコンの消印が捺されたハガキ①は、パナマシティロータリークラブ(RC)のメークアップカードです。パナマシティはパナマ共和国の首都ですが、キャナルゾーンにかかる一帯は運河会社が市内のアンコンヒル(アンコンの丘)に郵便局を持っていたため、アンコンの消印が使われています。国内郵便でクリストバルRCのルイス・フィリップさんが出席されたのがわかります。この時期はキャナルゾーンの切手は米国の切手に「CANAL ZONE」と加刷したものが使われ、料金も米国と同じ国内便は2セントでした。

1944年12月5日付の消印のある封筒②に貼られた切手はキャナルゾーンの切手として代表的なものの一つで、パナマ運河とその上空を飛ぶ郵便飛行機が描かれ、航空郵便用の切手であることがわかります。あて先は国際ロータリー(RI)の事務総長。差出人は1944-45年度RI理事のロバート・ジェイムズ・ボイド氏です。ボイド氏はパナマシティRCの会員であり、職業分類は「保険」。1944年RI国際大会議事録によれば、1954-55年度にRI会長となるハーバード・テイラー氏と同期のRI理事であったようです。

パナマは1955年のロータリー創立50周年を始め過去に3回ロータリー関係の記念切手を発行しています。特に1955年の切手にはエラーやバラエティが多いので、後日改めてご紹介したいと思います。


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