• MY HOBBIES / Kenichi Hamana

ロータリーの切手といってもさまざまなものがあります。「ロータリーの○○周年記念」「○○国際大会開催記念」「POLIO根絶運動」「奉仕活動の広報」等々、ロータリーの記念事業や活動を紹介する切手と考えるのが妥当ですが、中には、花や動物の切手にロータリーのエンブレムを入れただけのものもあります。一見、ロータリーの活動や創始者を描く真面目な切手に見えるものでも、以前にこのコラムで指摘した「エージェント切手」のようなものがあって、どこまで集めるかは、趣味ですのでそれぞれの判断に任されていると言ってよいでしょう。ですから今、「ロータリーの切手は○○種類ある」といえない状況です(ぐっと絞れば1,000種類、拡大解釈で3,000種類以上)。

そんな中、国際ロータリーの公式親睦グループの一つである「ROTARY ON STAMPS(ROS)」は『ロータリー切手カタログ』①を毎年発行しています。世界的に有名な切手カタログである『スコット』や『ミッヘル』での評価を基本に、「ロータリーの切手世界」での実際の入手難易度を加味して、ROS元会長のRichard J.Dickson氏が1992年ごろから私的に作られているものです。それを彼は無償でROSに提供し、ROSは制作実費(2021年版は27US$)で会員に頒布しています。

そのカタログによれば、最も評価額が高いのは、1981年3月30日にベリーズが発行した国際ロータリー(RI)75周年記念切手(額面75C、評価600US$)です。この切手はベリーズ全土の地図と国内3か所のロータリークラブ(RC)の位置、RI 75周年の記念ロゴを描いています②。しかしよく見るとおわかりのように隣国グアテマラとの国境線に誤りがありました。発売直後にそれが判明したこの切手は即発行停止となり、回収廃棄されて、ごくわずかな数の切手が市中に出たとされています。わずかな時間とはいえ窓口での販売がされていて、「不発行」ではなく通常の記念切手として扱われています。
ベリーズは、同年5月26日に改めてRI 75周年の記念切手を7種セットで発行しました。小型シートも2種類発行されましたが地図図案のものはありませんでした。そもそもRI 75周年は1980年であり、1年も後になって発行された理由は定かではありませんが、RI 50周年の際も、記念切手は1954年(最初はベルギー)から1956年(最後はギリシャ)にわたって27か国で発行されています。
同じ1981年の9月21日には独立記念日の切手がRI 75周年記念切手に「Independenceday」と加刷して発行されたのですが、何とその際に3月に発売停止になった75Cの地図切手とよく似たデザイン(もちろん国境線は修正済み)の切手が、加刷ではない正刷の独立記念日の切手として発行されました③。

さて、何枚が市中に存在するか不明な「地図を描く75C切手」ですが、6年ほど前にベリーズシティ中央郵便局の消印が押された30面シートが郵趣市場に現れました。消印の日付は1981年5月7日④で、私の確認では2シート存在したと思われます。この5月7日という日が何を意味するのかがよくわからず、ROSでも謎のままですが、高額なためシートのまま買った人はおらず、私は田型やペアなど希望の位置を何点か入手しました。
私がこの切手の未使用の現物を初めて見たのは2005年5月のRI大阪(関西)大会の時に、友愛の家のROSのブースで、当時ROS会長だったJerald L. Fitz Simons氏のコレクションの1ページを拝見した時でした。その数年後に②を入手したときは、ロータリー郵趣家として一人前になった気がしたものです。私の入手価格は???として、その当時のカタログ評価額は1,200US$でした。上述の消印の押されたシートが現れたことで、現在は600US$となっています。2番目に高価な切手は、1931年のウイーン国際大会記念切手(6種セット)で、450US$となっています。こちらの入手は容易ですが、ベリーズの未使用の切手はかなり難しいと思われます。私は私自身が入手した後、世界中の郵趣市場で見かけたことがありません。


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