• MY HOBBIES / Kenichi Hamana

スロベニアやクロアチアがユーゴスラビア連邦から分離独立してまだ間もないころ、その両国を訪ねるツアーがあった。諸事情でクロアチアには行けず、スロベニアだけ北イタリアとともに巡る12日間の旅になったが、途中自由時間に首都リュブリヤナ駅を訪ねてみた。
イタリアのスキーリゾート地コルチナダンペッツィオからスロベニア入りしたのだが、イタリアの観光バス会社には国境を通る道路がまだよく知られていないらしく、結局大きく迂回してトリエステから入国。昼前到着予定が15時になってしまうなど多少のトラブルもあったが、何とかスロベニアのリゾート地ブレッド湖で2泊の後、首都リュブリヤナに入った。彼の地の鉄道の知識は全くなかったが、リュブリヤナ到着前に踏切で待っていると、ローカル線らしい駅を2両編成のディーゼルカーが発車してきた①。
リュブリヤナ駅はベネツィア~トリエステ~リュブリヤナ~ブダペスト~キーウ(キエフ)という東西を結ぶ5号線と、ザルツブルク~リュブリヤナ~ザグレブ~ベオグラードという南北を結ぶ10号線が交わる鉄道の要衝であり、ゆったりとした伝統ある駅舎には旅のゆとりを感じさせるものがあった。跨線橋がなくホームとホームの移動は線路を渡ることになる②。日本の主要駅でも線路上を歩いて隣のホームにわたる経験をしたことがあるが、最近は列車本数の増加で大半の駅に跨線橋ができてしまった。ホームは3番線までだが、この写真③の辺りが「2番線3番線のA」で2a/3aの表示がある。手前側に少し歩くと2b/3bの表示があり、6番線まであるのと同じ使い方になっていた。日本でもかつては地方の大きな駅に行くと、同じようなホームの使い方をしている駅があったのを思い出す。今もあるのだろうか。④は試運転で入ってきた新型電車で、今は普通列車の主力になっている312型。2両編成だったが今は中間に1両入って3両編成になっているようだ。
最近の資料では電気機関車もヨーロッパ標準の機関車(塗色は赤)になっているようだが、この時はまだ旧型の機関車が主力だった⑤.
駅に貼ってあるポスター⑥を見てびっくり。「鉄道博物館」があり多くの蒸気機関車が保存されているらしい。地図を確認して思い切り歩いて20分。たどり着いたら閉まっていた。聞いたら休館日だそうだ。よくよくポスターを見たら月曜~木曜しか開いていない。その日は金曜日だった。予約すればガイドツアーもあるようだ。

スロベニアではポストイナ鍾乳洞にも出かけたが、洞内は小さな蓄電池機関車に牽かれたトロッコ列車が走っていて、それに乗って奥まで行き、ハイライト部分を歩いて見学する仕組みになっていた。スケールが大きく、大いに感心したが、この小鉄道など人工的に手を加えられた部分が多く、世界遺産への登録は難しい状況と聞いた。
この旅では北イタリアでドイツとの国境駅「ボルツァーノ」にも行った。ドイツと取り合いになった町で、ドイツ時代には「ボルツェン」と呼ばれたところだ。長大編成の貨物列車が通過し、「ヨーロッパの幹線」といった雰囲気だった。いずれ機会があればご紹介したい。歩きながら食した焼き栗がおいしい季節だった。

 

(今回から鉄道趣味のコラムは毎月15日の公開になります)


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