• MY HOBBIES / Kenichi Hamana

てっきり今も走り続けていると思っていたニュージーランドの「キングストンフライヤー」が実は経営主体が変わったり、売却されたりの繰り返しで運行中止。とんでもないことになっているらしい。それでも今年2020年には復活の話もあるとの地元紙の記事もあり、それを願って二十余年前の記憶をたどることにした。

「キングストンフライヤー」というのはニュージーランドの南島の観光拠点、クイーンズタウンから船で約30分、ワカティブ湖の南端にある人口約250人の村キングストンを起点に、14km南方のフェアライトを結ぶ保存蒸機鉄道である。もともとはキングストンとインバーカーギルやダニーデンを結ぶ急行列車で1890年代から1957年にかけてはNZR(ニュージーランド鉄道)が運行していたが、1945年以降は季節運行となり、1957年には廃線状態になった。1971年にニュージーランドの蒸気機関車が全廃されたのを機に「蒸気保存鉄道」としてキングストン~ゴアで復活。その後洪水で鉄橋が流されるなどして1979年に運航休止。1982年にキングストン~フェアライトに短縮して再出発していたもの。
私が訪れたのは1997年の1月20日で、キングストン駅①は町はずれのワカティブ湖畔の大自然の中にあった。機関車は1925年製②の国産(ADDINGTON WORKSHOPS製)でちょうど今の私ぐらいの高齢車で、配管からの蒸気漏れもあり大丈夫かなと思ったが、機関士③は大事に使っているから問題ないと言っていた。客車も往時の特色ある車両が使われていた。最後尾には一部が郵便取扱室や警備室になっている1等車④がつながっていた。
4両の客車を牽いて甲高い汽笛と共に発車した列車は駅を出るとすぐに大平原を進み、しっかりとしたドラフトを刻んで、心地よい速度と窓外の草原の羊の群れや、時には荒野のような風景もあり印象的だった。約30分で到着した終点のフェアライト⑤は何もないところにつくられた駅というよりも折り返し地点で、デルタ線があり、機関車はそれを使って方向転換をした。
当時は10月から翌年4月までの観光シーズンに午前と午後の2往復が設定されていた。
その後2003年に経営不振で売却され、村が第3セクター的に観光資源として運行していたものの2009年11月に経営が破たん。何とか地元出身の成功者が買い取り2011年10月29日から4度目の復活を遂げた。その後、蒸気機関車の不具合による運休などを乗り越えつつも2017年2月またも売却された。それから3年余り。ニュージーランドにはここだけの蒸機鉄道として、観光用に何度目かの復活が2020年中に実現するとの報道がある。それを期待しよう。


コメント一覧

返信2023年8月3日 5:57 PM

小浜雄一23/

2006年の12月年末に行きました。個人旅行でクイーンズタウンに三連泊した時に鉄道の存在を知りホテルからのツアーを申込みました。その時は初めての海外の蒸気機関車体験で非常に感動しました。レンタカー借りて走行写真撮影もしたかったですね。日本に存在しない風景の中を蒸気機関車と20世紀初期と思われる客車に乗車してキングストンから往復しました。アメリカのグランドキャニオン鉄道に次ぐ二度目の観光私鉄でした。今思えば本当に懐かしいです。同時にニュージーランドの物価の高さも経験しました。円高でも物価が高かったので円安の今では夢のまた夢ですね。

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