• MY HOBBIES / Kenichi Hamana

現在のモロッコ王国は、かつてのフランス領モロッコ、スペイン領モロッコ、タンジール、イフニ、そしてスペイン領サハラで構成されています。首都はラバト、最大都市はカサブランカです。
西暦42年にはすでにローマ帝国の領土で、682年にアラブ人が到来してイスラム教をもたらした地域です。フランスとスペインは1912年にこの地域の保護領を設置し、1956年に独立するまで統治しました。モロッコで最初のロータリークラブ(RC)は1930年にカサブランカで設立されました。1955年にはすでにカサブランカ、マラケシュ、ラバト、フェズなど8つのRCが存在していました。

1955年の国際ロータリー50周年時に記念切手①を発行したのはフランス領だった地域でした。切手はパリの郵便切手製造所で15万枚が印刷され、1955年6月11日に発行されました。この切手には一部のシートの左列上から2番目の切手に定常変種があり、ロータリーのエンブレムの一部が欠けています。ここにはそれを含む部分の田型を示しました(矢印参照)。シートは5×5の25枚構成で、通常のフランス切手と同様、無目打ち②も10シート発行されました。デラックスシート③も発行されましたが発売枚数は不明です。切手のデザインと凹版彫刻は有名なピエール・ガンドンです。

プルーフも各色多数存在し、ここには少ない紫色のもの④と2色刷り(バイカラー)⑤、そしてデザイナーが一部に手彩色したもの⑥を紹介します。⑤と⑥にはガンドンのサインがあります。

刷色を決めるためのカラートライアルプルーフ⑦~⑪も多数存在します。現存するものは今までフランスやチュニジアなどでご紹介したような大きなブロックはなく、ほとんどが1~3枚に分割されています。
⑦は最下段の切手のみ、陸地部分だけが印刷されています。その部分をよく確認するためと思われます。⑧は下の切手が最終決定色であり、ペンで大きく印が入っています。⑨は青系統、⑩は緑と青で、⑪は茶で刷られていて、さまざまな色が検討されたものと思います。

マキシマムカード(MC)は一般的な⑫の2種類のほか、モロッコの地図を絵葉書にしたもの⑬があります。これを見るとカサブランカやマラケシュなど旧知の地名も多くあり、旅情を誘われる珍しいMCです。
FDCは16種類が知られていますがそのうち2種を掲載します。⑭はモロッコで作成されたご当地カシェのものです。⑮は書留実逓便のFDCで、記念切手の田型4枚のほか不足分として当時のモロッコの通常切手(ムハンマド5世を描く)2枚が貼られています。米国ニューヨークあてでカサブランカの通常の消印があります。⑫~⑭はすべてカサブランカの記念消印ですが、ROS(ROTARY ON STAMPS)の資料には「記念消印はカサブランカで使われた」とありますので、他局のものはないものと思われます。


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