• MY HOBBIES / Kenichi Hamana

映画アラビアのロレンスでピーター・オトゥールが叫んだ『サイリア(Syria)』は日本では通称シリア、正式にはシリア・アラブ共和国といいます。シリアは紀元前16世紀ごろから、高度な文明社会を築き長い歴史を持っていますが、第一次世界大戦後にはフランスの支配下に置かれ、1946年に独立を果たしました。
ロータリークラブ(RC)は1938年1月に首都ダマスカスに設立されましたが、1969年にシリア政府によって解散させられました。

1955年3月26日から国際ロータリー(RI)のヨーロッパ・北アフリカ地域会議がダマスカスで開催されるのに合わせ、地域会議の記念切手2種①とともに、ロータリー50周年の記念切手2種②(25ペンスと75ペンス)が発行されました。これらの切手はMichel KurchenがデザインしI. Zeyboumが凹版の彫刻を担当しました。ここではロータリー50周年の記念切手についてまとめます。②に描かれているのは15世紀に建てられた丘の上の修道院で、十字軍によって「ノートルダム・ド・サルデナイエ」と呼ばれ、現代アラビア語では「サイードナヤ」として知られる聖地です。②の切手は1シート50枚で各4万枚発行されました。また無目打ち切手③④が各1,500枚発行されました。

1955年11月26日に同図案・別刷色で第2次発行⑤⑥があり、10面シートで各1,000枚が発行されました。25ペンスの方は⑦のような粗紙に刷られたものもあり、これが1,000枚の内なのか外なのかは不明です。また当初からカラープルーフも散見され、25ペンスの黄色⑧は30枚だけ刷られたと言われています。赤色(紅)は25ペンス⑨と75ペンス⑩の両方に見られます。⑪は二重印刷でエラー切手といえますが、正規に表に出たものか、印刷所から流出したものか判然としません。

初日カバー(FDC)もたくさん作られましたが、特印(ロータリーの文字の入った記念の消印)は作られなかったと思われます。消印の郵便局もダマスカスだけのようです。⑫はニューヨークあての書留実逓便です。FDCの体裁をしていますが実は4月7日の消印で、裏面⑬には4月10日にニューヨークに着いた到着印(4月11日の消印は配達局の到着印)があります。
⑭は中東地域で50周年用に使われた有名なカシェの封筒ですが、発行翌日の3月27日の消印です。ここで注目すべきは当時のRI会長ハーバード・テイラー氏のサインがあることです。おそらく地域会議に出席された際に、このカバー作成者の求めに応じて署名されたものと思います。それが縁あって、五十数年後のある日私のところにやってきた、という感じです。カバーは50周年の記念文字だけですが、地域会議の切手も貼られています。
⑮は2次発行の切手のFDCで日付は1955年11月26日です。上述の改色された切手が貼られています。同日には第3次・4次と呼ばれる小型シート(改色)も各1,000枚発行されました。第3次は2種の組み合わせシート(横長)⑯、第4次は1種ごとの縦長シート⑰⑱になっています。ここではサイズをわかりやすくするため、消印付(FDC)の状態でご紹介します。いずれもダマスカスの11月26日の消印です。
第2~4次については郵便に使用されるものではなく、郵趣界のためにつくられたものとの説があり、真相は不明です。


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