• MY HOBBIES / Kenichi Hamana

1975年5月30日。早朝、上松に着いた私は、その日が最後となった「林鉄」木曾森林鉄道の小さな車両たちと初対面をした。正式には林野庁長野営林局上松運輸営林署王滝森林鉄道で、ヒノキや杉など木曾の木材の運搬に当たってきた。道路が整備され、トラックによる木材輸送が主流となり、林鉄は役目を終えることになった。王滝小・中学校の児童生徒のために塚越地区と王滝村中心部の田島を結ぶスクール列車「やまばと」号や、地域住民が便乗できる「みやま」号なども運行されていた。貯木場もある上松の広い構内には2軸客車の「理髪車」などもあって、もっと早い時期に接しておけばよかったと思いつつ、ボールドウイン製蒸気機関車によるさよなら運転の始発駅田島停車場に向かった。
田島では塚越からの「やまばと」号の到着式(写真①)に続いて「さよなら列車」出発のセレモニーが行われた。そのハイライトは地元保存会による手筒花火(写真②)で、間近ではかなりの迫力を感じた。このあと先頭にディーゼル機関車(DL)が連結され、終点の上松の約800m手前の鬼渕停車場までその状態で運行された。
最後は、ボールドウインとDLを入れ替え、蒸気機関車を先頭にして木曾川を渡り(写真③)大勢が待ち構える上松に進入した。15年以上前に現役を退き保存されていた蒸気機関車を復活させ、無事終点まで運行するのは大変なことだっただろうと思い、その場に居合わせることができたことに今も感謝している。ちなみにこの機関車は上松の近く「赤沢自然休養林」に静態保存され、そこではDLによる2kmの復活森林鉄道が観光客を楽しませている。


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