今月のロータリー50周年はブラジル連邦共和国(以下「ブラジル」)を取り上げます。
ブラジルは、南米最大の国で、旧ポルトガル植民地から構成され、1823年に独立を果たしました。長年の政情不安にもかかわらず、ブラジルは主要な工業・農業大国へと成長しました。また、ブラジルでは1843年から切手が発行されており、これは世界初の切手がイギリスで発行されてからわずか3年後のことです。
ブラジルで最初のロータリークラブ(RC)は、1922年にリオデジャネイロで設立されました。ロータリーは全国に広がり、50周年の時には300を超えるクラブが存在しました。
ロータリーが50周年を迎えたその日、即ち1955年2月23日にブラジルはロータリー創立50周年を記念して、1種類の切手①を発行しました。デザイナーはG. フェレイラ、凹版の彫刻はワレリーノ・プンタルが手掛けました。この切手は、ブラジルの国営企業カサ・デ・モエダ社によって50枚1シートで100万枚印刷されました。
私は未確認ですが、無目打ち切手も存在すると言われています(枚数などは不明)。
発行初日には、リオデジャネイロ、イジュイ、サンタマリア、ポルトアレグレ、リオグランデ、ベロオリゾンテなど、ブラジルの多くの都市でロータリーの特別消印(特印)が押印されました。
また、多数の初日カバー(FDC)のほか、いくつもの記念カード類が制作されました。プルーフなどは現存しませんが、多くのカシェが存在し、私たちを楽しませてくれます。
さて、まずは記念カードから。②はベロオリゾンテRCが製作したもので、裏面には当時のクラブ会長のサインが入っています。ベロオリゾンテはブラジル南東部の標高800mの地につくられた計画都市です。このカードには、1948年の国際ロータリー年次大会の記念切手(2019年6月7日のコラム「国際ロータリー年次大会inリオ1948」参照)も貼られています。500枚作られたカードのうち、最初の20枚くらいに1948年の切手も貼られているようです。③はイジュイRCが作成したもので裏面にはやはりクラブ会長のサインなどがあります。④はカードより一回り大きくやや薄い「シート」ともいえるもので、各地の消印が見られます。
⑤は公式FDCともいえる全国で見られるカシェのもので、いろいろな刷色(単色)がありますが、これは珍しく多色刷りになっています。⑥はリオデジャネイロRCが作成したもので、リオの特印があります。⑦は初日印ではありませんが、ウベルランディアRC作成の記念封筒を使ってオランダに送られた実逓カバーです。⑧はポルトアレグレ、⑨はサンタマリアの特印が押印されています。⑩は世界中で使われたカシェのFDCのひとつで、さまざまな刷色と、少しずつのデザインの相違がありますが、ここではオレンジと緑という珍しい刷色のものをご紹介します。
最後にご紹介する⑪は、田型の記念切手にリオの特印を捺した部分をカシェに見立てたFDCで、右上の記念切手の消印には、上部に発行初日(PREMEIRO DIA DE CIRCURACAO)とあり、下部の局名にはベロオリゾンテとあります。リオとベロオリゾンテは道路距離で437.2km離れていますので、同じ日の消印を押すにはそれなりの努力が必要だったと思います。私も同じようなことをしますので、当時これを作ったベロオリゾンテの郵趣家の気持ちがよくわかります。