コスタリカは北米と南米を結ぶ中央アメリカで、パナマの西、ニカラグァの南に位置しています。コロンブスの最後の航海で発見され、ヌエバ・カルタゴと命名されました。スペインの州としてグアテマラにより統治されましたが。1821年に独立し、切手は日本よりも早く1863年から発行されています。
コスタリカのロータリーは、最初のクラブが1927年に首都サンジョゼで発足。現在国際ロータリー(RI)の第4240地区の一角をなし、12クラブが存在しています。
コスタリカのロータリー50周年記念切手①は、このシリーズ⑯でご紹介したギリシャほど遅くはありませんが、50周年の約1年後、1956年2月7日に6種の航空郵便用切手が発行されました。この日、RIのA.Z.Baker会長(米国オハイオ州クリーブランド)がコスタリカを公式訪問することになっていて、それに合わせて発行したとの記録があります。デザイナーはコスタリカ人の芸術家Oscar Bakit Padilla氏で、オーストリアの国立印刷所(ウイーン)でそれぞれ50面シートで印刷されました。発行枚数は最低額面の10Cが25万枚、他の5種は各10万枚の合計75万枚となっています。図案はいずれも大きなロータリーのエンブレムに、10Cが地球、25Cが握手、40Cと2Colは病院、45Cは交差したオリーブの枝、60Cには灯台が描かれています。
この切手の見本加刷はTypeⅠ~Ⅲの3種の存在が確認されていますが「MUESTRA」を斜めに印刷したTypeⅢは正規のものか確認できませんので、TypeⅠ②とTypeⅡ③を掲載します。
オーストリアで印刷されたことを考えると、グアテマラの50周年記念切手と同様ブラックプリントが存在するのではないかと推測されますが、公式な記録や見たという記録がなく、現時点では不明です。
FDCは多数作られました。アート・クラフト社のもの④は米国はじめ各国で使われたようで、一番よく見かけます。多くのFDCが日付印だけなのに対し④と⑤には横長楕円形の記念印が捺されています。ROTARY INTERNATIONAL 1905 1955の文字があり、紫または青色で捺されています。⑤は普通の航空郵便封筒で特別なカシェは印刷されていません。こうした普通の封筒によるFDCが多いのもこの国の特徴です。④⑤ともに書留ですが、⑤はチリのサンチャゴ宛で裏面にサンチャゴの到着印(2月10日)が捺されていて、郵便趣味的にも興味深いFDCです。
コスタリカ独自のカシェを⑥と⑦の2種類ご紹介します。⑥はコスタリカ国内の印刷所で作られたものと思われ、数もそう多くありません。米国ペンシルベニア州フィラデルフィア宛です。⑦はスミス社が各国でその国名を入れて印刷したもので、ニューヨークの法人宛書留便です。
FDCはいずれもサンジョゼの消印で、他の都市の郵便局のものは未見です。多分首都の郵便局だけでFDCは作られたものと思います。また、画像をよく見ていただくとお分かりになると思いますが、記念印の捺されたFDCの日付印のインクは黒色、記念印がないFDCの日付印は赤色のインクが使われています。これはここにご紹介しなかった多くのFDCでも同様ですので、何か規定があったのかもしれません。