• MY HOBBIES / Kenichi Hamana

フランス領西アフリカは現在、モーリタニア、 セネガル、 ギニア、 コートジボアール、 ベニン、 マリ、 ブルキナファソ、 ニジェールとして独立し8か国になっていて、それぞれロータリーの活動があり、ロータリー関連の切手も発行されています。1955年のロータリー50周年時にはフランスがアフリカでの領土を、赤道ギニアと西アフリカの二つの統治機構に整理して支配していました。その一つ西アフリカには首都ダカールにロータリークラブ(RC)があり、そこで発行されたのが①です。

この切手は1955年6月30日に530万枚が発行されました。1シートは縦10枚、横5枚の50面構成です。無目打ちの切手②も350枚(7シート)発行されました。デザイナーはルネ・コテット氏、印刷はパリの国営印刷所で、他のフランス関係国同様に行われました。①の左下部分に「10.6.55」とあるのはこのシートが1955年6月10日に印刷されたことを示しています。②には1955年6月14日に印刷されたと表示があり、おそらく最後に印刷された7シートが無目打ちのまま世に出されたものと推測されます。
③と④は刷色を決めるためのカラートライアルプルーフですが、③の左下には1955年6月3日とありますから、この日にはまだ刷色が決まっていなかったことがわかります。この3枚は同じような青色に見えても、鉛筆で書き込みがあるように異なった色で刷られていて、比較検討されたのでしょう。フランス印刷の切手にはこのような資料がよく残されています。

⑤は目打ちの入ったデラックスシートで、他のフランス印刷の国に比べシート全体が横長になっています。
⑥は国営印刷所の刻印があり、高位の関係者に贈られた贈呈シートと思われます。ダイ・プルーフも様々な色が残されています。⑦は深い青緑で刷られ、デザイナー「Cottet」のサインがあります。⑧はグレーで刷られたプルーフに手彩色が施されています。多色刷りも検討されたのでしょう。他ではあまり見かけない薄紙に印刷されたダイ・プルーフ⑨も存在します。

初日カバー(FDC)のカシエは7種類が確認されています。⑩は比較的よく見るカシエのFDCでダカールの記念印(特印)が捺されています。⑪は西アフリカらしいカシエで日付も発行初日ですが、特印ではなくダカール郵便局の郵趣印が捺されています。私はこのカシエが一番気に入っています。⑫は田型を貼ったニューヨークあての実逓便で、普通の封筒でカシエはありませんが特印が捺されています。他にマキシマムカード(MC)も散見されますが、各国共通のもの2種のみですので、ここでは省略します。

冒頭に紹介した旧・仏領西アフリカの8か国は、1958年以降の独立後、ロータリーの切手をよく発行しています。最近はディーラーズ切手と呼ばれるものも多く、私はロータリーの新切手にあまり注力しておりませんが、この1955年の記念切手には、図案の中に、独立に向けて産業や貿易の発展への夢を感じられるなあと、虫眼鏡で覗き込みながら、70年前のアフリカに想いを馳せています。


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